西毛電気 高芝発電所・坂本発電所探索
玉屋ドライブインを出てすぐにある旧アプト式線路跡の遊歩道を越えると、これまたすぐに坂本浄水場がある。
その浄水場の横へ侵入していく林道が林道赤松沢線
目指す坂本発電所遺構はこの林道沿いにあるはずだ。
林道沿いにある東京電力西群馬幹線 No.52号鉄塔の袂に車を止められる平場がある。
鉄塔直下にある発電施設(おそらく高圧鉄塔の航空障害灯への電力供給用だろう)があり、その施設の保守の時駐車場として使われる平場だろう。
そこに車を置き、徒歩で林道を進んでいく。
GoogleMAPに怪しい枝道が記載されている箇所が擬定地
実際にはそんな枝道は存在していない。
有るのは植林の為に造成された平場と、規則正しく植えられ、枝打ちされた針葉樹だ。
沢の水を通す為に道路下をヒューム管が通っているところがあり、これも結構分かり易いフェイク物だが目印になる。
先述の通り管路になっていたであろう所は造成の為に原型は失われてしまっている。
林道より林の中を碓氷川の方へ進んで下っていくと、それは唐突に現れた。
変電設備を収容していたと思われるコンクリートの囲い
地上部、こちらは穴二つ。
この穴に接続される形で水車ランナーと、奥側の四角い基礎に発電機が設置されていたと思われる。
ほぼ高芝と同じ作りだが、こちらの方が規模が大きい。
なによりこの高さだ、写真だと分かりにくいが目測8mはあるアーチ構造物
次の写真はもぎ氏より頂いた私と二人揃っての記念写真だ。
人物の高さを目安にして頂くとアーチ部の高さがより分かり易いと思う。
アーチの上よりお互いを撮りあう。
階段状になっている進入路
最下段にはぽっかりと暗渠が今でも埋もれずに残っていた。
中を覗くとほぼ直角に曲がっている。
アーチの内側は、暗渠がまだ相当の働きをしているおかげで水没は全くしていない。
(高芝の項で書いた暗渠の存在の可能性も、この坂本の構造を見ていなかったら書いてなかっただろう)
上には同じくらいの径の穴が2箇所
(片方は元々は小さくて崩れて大きくなってしまったか何かだろうか)
この穴より水が落とされていたのだろう。
暗渠の先は碓氷川への放水口となっている。
西側の山中から水圧管路を下り発電所を経由し、暗渠内でグイッと南に向けられた水路はほぼ南側へ向いて放水していた。
出口は礫で覆われていて開口はしていない。
が、礫なので止水されずに済んでいると思われる。
発電所の北側は石垣で護岸が作られていた。
右に見えるのが碓氷川、西側を向いて写真を撮っている。
この場所の後ろで碓氷川は弧を描いて蛇行している。
流れを変えた先に先述の放水路がある。
発電所に至る管路が敷設されていたであろう窪地
若干の石垣の痕跡が見られる。
そこから上、林道までの間は何度も書いたとおり造成されてしまい痕跡は無い。
大体このような配置だろうか、あくまで記憶と写真を元に配置を図解しただけのものなのなので参考までに。
次は林道より西の部分だ。
林道に戻ってから、発電所の位置と、窪地の角度などから管路の向きを探っていたところ、呆気なくそれは見つかった。
林道の擁壁沿いにそれらしい管路の台座らしいコンクリート塊を見つけた。
林道の擁壁工事の時に撤去されてもおかしくはなかったのに、残っていた。
左上、藪に包まれているが、なんとか分かるコンクリート塊
上の方へ目をやると、台座が続いていた。
まさしく管路の台座、窪みが残っている。
この直線にもう一度管を通してみたい。
台座を何基か辿っていくと、高芝であったときと同じような窪地が有った。
まさかこれで終わり?事前情報ではたしか上部水槽が残ってたはず・・・と、私ともぎ氏は周辺を探し出す。
一旦窪地より更に上の頂まで登り、隣の沢まで下っていたところ、それはあった。
橋台だ。
片側は半分崩れてしまっている。
が、もう片方が健在だ。
対岸に渡ると上部水槽と水路の出口が待っていた。
おそらく緊急用の放水ゲートか、排砂ゲートと思われる。
左右に石垣が組まれ、沢に水を落とせるようになっている。
地下水路出口はもう開口部がギリギリ残っているくらいの埋もれ方だ。
手前にある倒れた木が土を堰き止め、余計に埋もれやすくなってしまっている。
水路出口から上部水槽を経て、橋を渡ってから先はおそらくまた地下に潜ったと思われる。
管路を追って台座を辿っていった先で見つけた窪地まで地下を通っていたはずだ。
この遺構にはこれまたなぜか遊歩道というか、歩ける足場通っている。
林道側へ降りる道もしっかりと足場というか、樹脂製の段差が整備されていて、下るのに凄く助かった。
この手の整備された歩道はここだけではなく他の地でも何度も見てるので予想はしていた。
道を降りていき、林道にたどり着いて、予想通りの結果だった。
黄色い縦杭に書かれているのは
53 西群馬幹線 東京電力
西群馬幹線 No.53号鉄塔巡視路だった。
逆に言えば、この巡視路を辿れば上部遺構は簡単にたどり着ける。
この情報は全く知らなかった。
現地へ足を運ばないと分からなかった。
林道へ戻ってから、先に上げた二人揃っての記念写真を撮りに、発電所遺構までまた下り、写真を撮って車まで戻る。
そこで休憩がてら、持参したキャンプ用具で湯を沸かし簡易ドリップのコーヒーで一服し、帰路に就いた。
おまけ
西群馬幹線 No.52号鉄塔直下
本当は鋼材が完全にクロスする中心点から撮りたかったが、そこは自家発電施設のフェンス内(監視カメラ付き)なので諦めた。
これにて、高芝、坂本発電所遺構の探索は終了となる。
あとは暇なときにでも再訪し、行く末を見守るだけだ。