西毛電気 高芝発電所・坂本発電所探索 高芝発電所
付いた場所は安中市松井田町坂本
霧積川の縁にあるゴルフ場の付帯施設に隣接した道路の脇に駐車できそうなスペースがあったのでそこに車を止める。
ゴルフ場コース脇の舗装路を進むと、今の地図には載っていない道と、ゴルフコースへ入るゲートがある。
高芝発電所へは左を進んでいく。
目星をつけていた地点から川沿いへ進入していくと、呆気なくそれは見つかった。
おそらく水圧管路を通していたであろう斜面と石垣。
その先には、ぽっかりと空いた穴と、四角いコンクリの枠。
発電所建屋を囲ってた石垣。
そして、立派なキーストーンを持つアーチの石組み。
手前までは落ち葉などで埋もれつつも、内部は殆ど埋まっていない。
傍らには何かしらの基礎だろうか、石組みの基礎が残る。
何の為の物かは分からない。
放水口は落ち葉に埋もれつつ、木が生えてしまっている。
キーストーンには何か掘られてるかもしれないと淡い期待を込めてコケを軽くはらってみたが何もなかった。
内部はパイプの残骸と、アンカーボルトの基部が残っている。
内部から外を見ると、礫が下に転がっているのと、成型された石が上部に見える。
何かしらの木組みと数本の角材と共に、以前にきた人たちが石を置いたのであろうか、最深部に入れるように石が数個並んでいた。
外面の状態からしたら内部は水没していてもおかしくはないのだが、水深は10cm程度しか貯まっていない。
おそらく土溜まりの下には放水路となる暗渠がまだ生きていて、礫が作る隙間によってそこから排水されているのかもしれないが、外観からは確認できなかった。
横に寝ていた石材が少し気になる。
上層の放水路はそのまま霧積川へ一直線になっていたものと思われる。
川沿いは暗渠からの放水路のように見えるそれっぽい遺構が有ったのだが確証は持てなかった。
下流の堰堤手前にある対岸にはこれまた年代物の取水口が口を開けているが、発電所とは無関係であろう。
発電所建屋の付近の川岸は護岸として石組みが残っている。
また上に登り、発電所建屋周辺。
ここから水車ランナーを経由した水をアーチ構造物に落としていたのであろう、穴。
穴の位置と建物の角度、石組み等から管路の方向を探る。
この向きに管路が有った物と推定。
登っていくとそれはあった。
いくつも!
大半の台座が片側を破壊されている。
鉄管を外すときにボルト・ナットが固着でもしていたのだろうか。
しばらく水圧管路の台座を確認していたら、元来た道路に出てきた。
そして気がつくと、その道路脇にも一基鎮座していた。
全く気がつかなかった。
傍目にはただの石に見えるが、折れ曲がったアンカーボルトが物語る。
そこから更に斜面を登っていくと、立派なモノリスが有った。
コンクリートの打設が未熟だったのか、それとも材質が悪かったのか、骨材がまる見えのぼろぼろ。
側面のモルタルはまだ綺麗な状態ではある、が継ぎ目が目立つ。
台座が綺麗に数基直線に並んでいる。
登り切ると、何とも言えない窪地が有る。
おそらくここが管路のスタート地点だろう。
上部水槽らしい構造物が無い。
暗渠から直接鉄管に繋いだのだろうか。
その周辺でもぎ氏が錆びたボルト数本を見つけた。
一応確認の為に上流部へ足を運んでみた。
山の斜面沿いに獣道か、それとも何かしらの作業道(西群馬幹線50号鉄塔巡視路?)か、歩ける道が有ったのでそこを伝っていったのだが、沢へ出たところで途切れていた。
その沢にも人工的な構造物は見当たらなかった。
霧積川から取水した水をどのように導水していたのか、そこはまだ未知のままだ。
その取水口だが、先ほどの窪地地点にて海抜をGPSで測ったところ、私のスマホでは海抜580m前後、少し下段に居たもぎ氏のGPSで570m前後の数値が出ていた。
霧積ダムの天端海抜が622m、堤高59m、逆算してダム直下だとしても海抜563m
数値から、おそらく取水口はダム湖の底であろう。
高芝発電所はこれにて撤収となった。